Flowers~魔界の花~ 本編vol.3

ED前ティアの話

飼っているブウサギ達に心地良いBGMを聴かせたいから、というピオニーの我侭なリクエストに答える為、オルゴール盤の勉強に来たのさ、とため息混じりに言うガイに、
「ブウサギ達の為だなんて、陛下も本当にお優しいのね。それを我侭だなんてひどいわ、ガイ。」
とティアが答えると、
「君も・・・何ていうか、相変わらずだねえ~。」と苦笑し、
「でもちょっとだけ丸くなったかな?」
とガイは言った。
「丸く、ですって?!私太ったのかしら・・・。」
焦った顔つきで自分の体つきをまじまじと見直しているティアに、
「ち、違うよ、そういう意味じゃなく、言い方が、というか・・・ あ、これも失礼な話か。」
会話がどうもかみ合わない、といった様子でガイは困った顔をした。
「・・・ごめんなさい。私ってどうして融通が効かないのかしら。少し直した方が良いとおじい様にもよく言われるわ。」
「――んっ、そこが君の良い所でもあるんだけどね。」
とガイは相変わらず温かい。
「でも知っている人は知っているさ。表面上の君はそうでも、中身はとても優しい人だってね。ただ、それを表に出す方法がわからないだけさ・・・って、昔イオンに同じ事言われてたヤツがいたなぁ。」
あはははは、と2人は顔を見合わせて笑った。

ひとしきり近況と仕事の報告をし合った後、ぽつりとガイは言った。
「ティア。もうすぐ成人の儀だな。招待状は来たかい?」
「ええ。・・・でもバチカルには行かないと思うわ。」
「・・・だよな。」
急にしんみりとした雰囲気になったのを察したのか、オルゴール屋敷の彼女は席を外しますね、と言って部屋を出て行った。
「俺も暇を見てあちこち見て周ったけど・・・どこにもいないな、あいつ。」
「そうね・・・。」
「ほんとに、帰って来ないつもりじゃないだろうな。」
「・・・。」
淋し気に眼を伏せたティアを気遣ってか、ガイは「悪い、悪い。」と明るい口調に変えて言った。

「でもティアは偉いな。兄貴と想い人同時に見失ったのに、今でもこうして慄然と仕事をこなしている。 そう考えると俺は相変わらずだ。威張れるような仕事はしていないし。」
「そんな事ないわよ!ガイだって毎日欠かさずブウサギの散歩をしているのでしょう?それだって立派な仕事だわ!」
「・・・・・。」
とほほ、とガイは苦笑いした。
「ま、たまには別の仕事も引き受けたり、貴族院の仕事をしたりもしているが、胸張れるほどには・・・な。」
遠い眼をするガイに、今度はティアが返事に困ってしまった。
すると実はさ、と意を決したようにガイは話し始めた。
「実は俺さ、いずれもう少し力が持てたら、ガルディオス家の本格復興をして、各地に散らばっているホドの生き残りの人達を集めて、新しい「ホド」を作りたいと思っているんだ。」
「・・・素敵じゃない!ガイならきっと出来るわ。」
「その時は、ティアも呼ぶからさ。協力してくれよな。」
「え、私も?いいの?」
「当たり前じゃないか。君だってホドの住人だろ。」
真っ直ぐな瞳でガイは言った。
「いつか、俺達の「故郷」みたいなの、作ろうぜ。」
その瞳をやはり真っ直ぐに見つめ返して、ティアは言った。
「ええ。待ってるわ。」

待ってるわ。
ティアは自分の放った言葉にはっとした。
待ってるわ。
私はいつまでこの言葉を使い続けるのだろう。
そう思ったら自然と涙がこぼれてしまっていた。
「ティア?!」
ガイが驚いておたおたしている。
「ごめん、俺なんかまずいこと言ったかな・・・。」
「ごめんなさい、違うの。」
ティアはううん、と首を振った。

「私、小さい時からいつも何かを待っていた気がするの。子供の頃は兄さんが帰って来るのを、そして今はルークが帰ってくるのを。そう、思ったら、何だか・・・ね。馬鹿ね私。」
そう言ってティアはうつむいた。
<vol.4へ続く>

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