ルークとアッシュ。
二人の間で自分の気持ちが揺れた時もあった。
自分でも明らかに迷っている、と思った時もあった。
子供の頃のあの言葉。貧富の差の無い国を作ろうと誓ったあの約束。
それをくれたのはアッシュだった。
二人で努力したあの7年間。私達の国や民、そして世界を救う旅。
共に過ごしたのはルークだった。
本物のルークはアッシュだったと判ったあの日。
アッシュもあの約束を覚えてくれていたと判ったあの日。
本物ではなかったルークがまるで生まれ変わった様に成長した日々。
そのどんどんと変わっていく様を傍で見続けた日々。
どちらのルークもわたくしには大切だった。
どちらのルークも失いたくはなかった。
ガイが言っていた、わたくしの最後に残っていた気持ち。
でも今ならばはっきりと言える。
わたくしはルーク、「アッシュ」と呼ばれていたルークを愛していました。
彼が永遠にいなくなったと聞いて自分自身を見失ってしまうほどに。
そしてルーク、「レプリカ」と呼ばれていたルークを大切に思っていました。
心から、幼馴染の友として。
外見が一緒でも中身は全くの別人。
そしてそのどちらも、私には大事な方々だった。
帰ってきて欲しい。どちらのルークも。
「希望は─捨てませんわ。お二人との想い出も。」
遠くでセシル将軍が呼んでいる。
今のわたくしにはやるべき事がある。
「しっかりしなさい、ナタリア。」
そう言い聞かせると、ナタリアは宿に向かって再び歩き出した。
<終>