眩しい。
地平線もわからない、空も大地も無いこの場所は、
とてもこの世のものとは思えない。
ここは・・・どこだ・・・
彼はつぶやいた。思考がよくまわらない。
ぼんやりとした意識の中で、ともすると閉じてしまいそうになる
重い瞼を持ち上げて、彼は二,三度瞬きをした。
俺はいったい・・・
横たえた身体を起こしてみる。まるで自分の身体ではないかの様に、もの凄く重い。
今度は辛うじて両手を持ち上げて、その両方の手のひらを眺めてみる。
そのうちに、自分の全身を包んでいた淡い光が徐々に消えていった。
俺は・・・消えたんじゃ・・・なかったか?
きょろきょろと周りを見回してみたが
暑くも寒くも無いこの場所には、自分の他には誰もいなかった。
あいつは・・・奴はどこだ。
そう呟くと、それとは違う強い思いが同時に湧き上がる。
俺は、ここにいる。
あいつは・・・俺だ。俺なんだ。
全身に纏った、見慣れぬ白い服が金色の中ではためいている。
ようやくの思いで立ち上がった彼は、少しずつ思い出し始めていた。
背中に背負った長い剣が、自分に託された大切な物だという事を。
この手につかまなければならない、大切なものがあるという事を。
そして、果たさなければならない、大切な約束があるという事を。
行こう。あの場所へ。約束したから。
行かなくちゃ。約束したんだ。そしてもう一度、会いたい。
長いマフラーをなびかせて、彼は光の階下へゆっくりと降りていった。