Stalwarts vol.6

六神将/リグレットの話

リグレットがティア=グランツへの戦闘指導をヴァンから任されたのも丁度その頃であった。
ヴァンに歳の離れた実妹がいる事は知っていたが、彼女についての話を彼はあまり口にしなかったので、
リグレットは噂に聞くだけで詳しい事はよくは分からなかった。
ただヴァンが、忙しい合間を縫っては時間を作り、ユリアシティへ行っていることは知っていた。
何かと口実をつけてはいるが、恐らく妹に会いに行っているのだろう。
「あんな男でもやはり実の妹は可愛いか。」
リグレットは内心苦々しく思っていた


神託の盾騎士団の団員は、実地訓練は基本的に通称“神託の盾騎士団の暗部”と言われるダアト地下で行い、
そこの寄宿舎で寝泊りしているのだが、
ヴァンは彼女に対しては家庭教師を派遣してマンツー・マンで訓練を施し、学科のみユリアシティからダアトへ通わせて受けさせる、
という方法を取っていた。
実際にダアト地下は団員の実地訓練の他にも、特務師団の部隊などが隠密行動を行う際の打ち合わせや集合場所などにも使われる為、
常に猛者が集っている。
それ故、あまり品の良い場所では無い。
まだ歳若い実妹に、あまりそういう部分に触れさせたくないという、兄心から派生したものなのかもしれない。
しかし何故、それ程過保護にしている妹の元へ、よりにもよってこの私を派遣しようなどとするのか。

「お前の射撃の腕前や戦闘能力は、私が一番良く知っているからな。」
と、ヴァンは皮肉交じりに言ったが、どうも解せない。
ただでさえ、若くして昇進し続けているヴァンの事をよく思っていない輩も多いというのに、
わざわざ身内贔屓をするような真似をするなどとは、全くあの男らしくない行動だ。
それ程妹が心配なのか。しかしそれを差し引いてもやり過ぎ感は否めない。
それとも何か他に、彼女をユリアシティに留まらせておかねばならないような、別の理由でもあるのか。

リグレットは思う。
それを今どうこう考えてみたところで、それらは全て憶測でしかない。
「…まぁいい。これを機に私は彼女を利用させてもらうだけだ。」

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